聖ロック教会

モンペリエの聖ロックの教会。
聖ロックは実在した人でタロットカードの愚者のモデルとも言われている。


聖ロックは1295年モンペリエ生まれ。
胸に十字の痣があったそうです。
お金持ちで名士の家に生まれたが、若くして相次いで両親が死去。
おそらく「無常」を悟ったのでしょう・・・・。
残された莫大な遺産を全部、貧民に施すとロックは身ひとつで巡礼に旅立つ。
町の人々は彼を「大馬鹿者」と呼んだ。


途中、ペストが大流行した。
彼は感染も恐れず、患者たちを献身的に癒して回った。


ところが、ついに彼も感染し死を覚悟してひとり森の中、身を横たえる。
そこへ犬がやってきて、傷をなめたり、食べ物を運んだりしてくれた。
彼は回復すると、その犬を連れてぼろをまとい、また巡礼の旅を続ける。


モンペリエへ帰った時は、乞食のような風体で、町の人は彼とわからず投獄し、彼は若くして亡くなった。


死後、彼の胸に十字の痣を発見した人々は、これが12年前、町から姿を消した、あの大馬鹿者であることに気がついた。


再びペストが流行したとき、人々は競って彼に祈りを捧げた。それには大きな効験があったので、ローマ教会はロックを列聖し、各地に聖ロック教会を建立した。


モンペリエの聖ロック教会はその総本山のようなもの。小ぶりながら荘厳な雰囲気を漂わせ、今でも病気平癒を祈るキャンドルを献納するために、信徒が遠くからやってくる・・・・・。


日本の授業でロックさんの話を聞いただけですでに泣きそうでしたが、教会でも涙うるるになりました。
そこはロックさんの広く深い、衆生に対する慈しみのエネルギーで溢れていました。
心を打つ、とてつもなく大きな愛。


それに対して私は何てセコい奴なんだろう。
自分勝手なエゴに翻弄されているばかりで。
「ロックさんのつめの垢でも煎じて飲めや!」と自分をムチ打ちました。


話を聞くと、ここでじんじんくる人はかなり多かったようです。
たぶん、人の中に眠る仏性を刺激するのでしょう。
きっと、誰もが心の奥底にロックさんのように生きたいという熱い思いを持っているに違いないです!