罪の告白


何年も前に退職された常務から、年に数回メールが届く。

世代も変わり、今ではみんなすっかり大人しくなって、伝説に残るようなクセのある名物上司は姿を消してしまった感じがある。
この方は恐ろしく頑固の上、恐ろしく短気だったこともあり、在任中は力もあったし、悪評と好評にくっきり分かれています。

幸い私は大変良くしていただきました。
派遣社員の私が無理を承知で「部署を移りたい」とお願いした時も最初は断られてしまったのですが、翌日「辞めよう」と思っていた私を呼び出すと、「行きなさい!話しはもう全部通しました!」と応援してくれたことがありました。

メールもこの方らしく、数行の「元気でやっております」「それでは、さようなら」みたいな近況報告だけなのですが、先日のメールには最後の方に「私も償いたいことが多くあります・・・・そのことについてはまたお会いする機会があったら話します」とありました。
70歳近くなって、胸に去来する何かがあったのでしょう。

それは、最近感じることと重なりました。
罪はその人自身を最も苦しめる、ということ。

私も数多くの過ちを犯してきました。
人に意地悪をしたり傷つけたり嫌な思いをさせたり・・・・。
その時のさもしい、寒い自分の心のあり方、
そのひとつひとつが魂に刻まれています。

表面上は何事もなかったかのように過ごしていても、ふとした瞬間に胸の奥から蘇り、もがきたくなるような苦く後ろめたい思いをすることになるのです。
正直な懺悔ともう二度としないという決意しか、するべきことは残されていません。

私も勧善懲悪が好きで阿修羅体質?なので、「こんな人許せない!」「私が天罰を下してやるぞ!」と思ったこともあります。
世の中には、ご自分の家族を殺されて、「何としても犯人を死刑に!」とがんばっている方もいます。
でも、それは私達が手出しをしなくても、罪を犯したその人に確実に返ること。

自分の為すべきことを一生懸命やるしかないのです。

その元上司の方が悔い改めたい気持ちになった時に私の顔が浮かんだとすれば、不思議だけどうれしい気持ちもあります。

写真は「地獄」って題名の絵。
何だかかわいらしい地獄だけどね!