新更衣室

薬剤師は国家資格で、聴覚障害者はなることができない法律だった。
それでも耳が聴こえないハンディと闘いながら、がんばって勉強して試験に通った人がいた。
しかし、いざ資格授与の段階で国から却下される。
それでもこの方はあきらめなかった。
結局、その人のエネルギーがまわりを巻き込んでいろんな人が協力や運動して国が法律を変え、無事に資格が取ることができたんだ。
そして今まで最初からあきらめていた障害のある人達が次々と大学で勉強を始めるようになった。

っていう話をテレビで見た。


こうゆう話大好きなの。
「うぉぉ!」とこぶしをふりあげたくなります。
新しく道を作るすばらしさ。

普通は、法律で決められているなら「なれない」んだ、と思って終わりだよね。
それを挑戦するってすごいな!


と、そこで自分を振り返る。
自分があきらめていることって何かないかな?


そこで思い浮かんだのはかなりショボい話だが、「会社の更衣室」・・・・。

会社は2つの棟がある。
私のいるこっち棟は女性が2〜3人と少ないので、もうひとつの棟の女子更衣室まで行って着替えていた。
おまけに靴箱もとんちんかんな場所にあって、出社や退社していちいち着替えるためだけに移動する時間や距離はため息がつくくらいだったのだ。
でも「しょうがないなあ」と思っていた。
「でも、本当にしょうがないのかな?」と思い、行動開始。

一応、一緒の建物の女性社員にどう思うか、意志を確認する。
「不便ですよねえ」やっぱ同じだ。


まあ、順序としては「総務課」。
まず、総務課へ行って「陳情」する。
「更衣室をこっちに作っていただけませんか?」
「ちょっとのスペースでいいのです」
「もし、無理なら私は廊下でもどこでもいいです」
「もし作ってくれなかったら、もう、私はみんなの前で毎日着替えてやるぅ!」

「逆セクハラですよ〜」と総務の女性に突っ込まれる。
本当に着替える場所なんてどこでもいい、不便でさえなければ。

そうは言っても聞いている総務課長の目は「死んでいる」。
この人は「やり過ごしたい」と思うだけだろう・・・と私は最初から思っていた。
何かで印鑑をもらいに行ったとき、すごく面倒くさそうで、驚いた。
そこまで思うのなら、押さなくて済むようなシクミを頭使って作れよ、と思った。
一事が万事なのさ。

しばらく日数を経て案の定、総務課長から何の返答もないことを確認すると、フロアの責任者である技術の部長のところへ再び陳情。
「ここなんて片付けるとスペース空きますよねー!カーテンだけあれば贅沢言いませんから」と勝手に目をつけた場所を見てもらってプレゼン。
「じゃあ、作りましょう」との返事を得ました。


そして、今日、無事、新更衣室オープン!

最初はパイプで枠が作ってあるだけだった。
そこにカーテンやレールなど、必要なものを買ってきてください、とのことだった。

そこで協力(強力)ヘルパーとして思い浮かんだのは隠れ大工職人?のK部長。
私が「労の惜しまなさ」「着想のよさ」「仕事のきれいさ」で一目置いている人です。

「ご相談があるのですが」(手を貸してくれんかな・・)とわけを話すと、「じゃあ、材料を買いに行こう!」と忙しいところ車も出して一緒にホームセンターへ同行してくれた。
作業を始めても、出来合いのカーテンなので丈がキモチ長すぎるとか、目隠しがいまひとつ、など次々出る問題にも的確、スピーディに対応していく。
あっというまにパイプを繋げたり、ドリルで穴をあけて耐震対策を施したり。
知恵者だし、最後までぬかりがない。
「いい加減にやるほど、あとでの仕事が増えるだけ」なのだそう。
本当にそうだよな。

というわけで、本日から不便でいらいら、から解放されました。
環境に負けない(環境のせいにしない)ことは誰にでも可能だな、と思う。