滝行デビュー

自分の愚かさにうんざりして、「ああ!滝にでも打たれたい!」と思ったことは今まで生きてきて何度となくありました。
しかし、そんな勇気も機会もなく、かなりの年月過ごしておりましたが、とうとう機が熟し43歳ようやくデビューの時がやってきました。


ヒマラヤでも「なまっちろけた」自分の精神や肉体を感じ、ラクに流れようとする甘えっ子精神を勢いよくかなぐり捨てたくもあり、びびる自分を無視しての参加です。


場所は武蔵御嶽神社
古神道の修行は非常に気持ちの良いものでした。
どんな修行も方法はまちまちでも目的は同じだなあとつくづく感じました。
滝に入る前ということもあって、雄叫び系、気合い入れ系のものが続きます。

時刻は夕方、山に入り白装束に着替えていざ、滝へ!
古来から修行の場所とされてきただけあって、神聖な気が満ち満ちています。
もうここまで来たら逃げることはできません。
20人ほどの参加者の皆さんも見た目はほとんど普通の方々で中には年齢の高い方もいらっしゃいましたが、みんな度胸満点で次々と「ええいっ!」と滝へ入って行きます。

見た目には水量も少なく深さもなく「どうってことない」ように思えましたが、いざ滝に入り、山の冷えたお水がざんざん頭上から落ちてくると、からだが一気に震え上がって、教わったお祓いの言葉を唱えたくても声がでません。
10秒くらいを3回繰り返しますが、順番を待つ間にも濡れた白装束が体に貼り付き、体温をどんどん奪っていきます。
たったの10秒がスローモーションのように長く感じます。
気合いが足りないのか、コツが掴めず、何とかこなしたものの体は寒冷地獄、頭も痛くなり打ちひしがれた気分で宿に戻りました。

明日も早朝から滝なんだよなー・・・・・水冷たいだろうなー・・・・・とテンションは正直下がり気味。


翌日5時起床で、再び滝へ!

昨日滝行の後で神主さんから「滝と一体化するつもりで」というお話を聞きました。
日本人は昔からすべてに神が宿ると考えてきました。
自然=神、と考えると、滝行も神を感じることに他なりません。
前回は、自分の罪穢れの浄化、「清めたまえ祓えたまえ」と思って滝に入りましたが、今回は少しテーマを変えてみよう。


朝の清々しい空気の中、勇んで飛び込むような気持ちで滝に入ります。
「どうか私を受け入れてください」とお願いするような・・・。
すると、不思議なことに歓喜が体の底から湧き上がり、滝から上がった時はエネルギーが頭頂から噴き出しそうな状態となりました。
飛び跳ねたいような心地でほとんど寒くありません。
至福に包まれた状態で朝の行を終えることができました。


自宅に滝があったら朝晩滝行だ!・・・などと妄想も膨らみます。


滝行の際、女性は白装束で男性は白ふんどしです。
改めて思うのは日本人男性には体型に関係なくふんどしが似合いますねー。
私の父親は昔からふんどし派ですが、子供の頃は恥ずかしくてとても嫌だったのです。
洗濯物が干してあるのをお友達に見られたらどうしよう・・・などと無駄な恐れさえ抱いていましたが、ふんどしのかっこよさを見直しました。
・・・・・私もしたいほどです・・・。


行をフォローしてくれる神主さんチームは女性の方1人を含め4人でしたが、主に説明をしてくれる方はNHKのアナウンサーみたいな方でした。
明るく寛容でまじめな雰囲気で。
みんないい方々でしたがあとの3人の方はなぜか何となく陰がありました。
人に言えない秘密を持っているような、怪しい雰囲気なのです。
楳図かずおのマンガに出てくるような・・・・これはうまく言えないですが、それが謎めいて面白かったです。
みやげもの屋さんも、昭和にトリップしたような雰囲気でレトロでした。


滝行の後は、天候も不安定で雨の中でのどろどろ登山となりましたが、気持ちよく、宿でいただいたバカでかい3個のおにぎりもたいらげてしまいました。
山は「原初の生命体」と聞いたことがありますが、どこかと繋がって充電されているんだろうな。
今回も楽しくすばらしい体験でした。